ネパール1ヶ月1万円生活 [0日目] お金がないということ

せめて貧乏なら貧乏なりにポジティブに貧乏生活をしよう。

 

そもそもなぜ海外まで来て1ヶ月1万円生活をするのか。チョイスがあるのと無いのとでは大分心持ちが違うものだが、このパロディ企画発足の真相についてはあえて深く追求しないで欲しい。つまり金がないのだ。海外渡航なんて贅沢なことしておいて金がないだなんてそんな矛盾、恥ずかしくて面と向かって人には言えないが、この場でなら言える。私は金が無いのだ。

 

そんな私がなぜネパールへ今向かっているのか。事の経緯を説明すると、冬まで遡る。

 

私は現在、アメリカのネブラスカ州にある小さな大学に通っている。人間より牛が多いネブラスカ州。燃料用のトウモロコシ畑が永遠広がるネブラスカ州。見渡す限り真っ平ら。アメリカ人だってネブラスカを地図上で生活に指させる人はそうそういない。北海道の人に失礼だが、北海道より何も無い、ただ広いだけの土地である。ネブラスカと聞いてラスベガスを思い浮かべる人もいたが、それも間違いだ。ベガスはネバダ州だ。繰り返すようだが、ネブラスカには、何も無い。

単位数にもよるが最低限の学費だけで言えば日本の国立大くらいの金額で通えるこの大学に、私はあちこちから借金をして通っている。

 

そんな私を不憫に思ったのか。いや単純に私がど田舎の暇な大学生だからだろう。山好きの知人(便宜上ここでは山男氏とする)から、「一緒にアコンカグアに登らないか。」と昨年誘いがあった。私自身、本格的な登山経験は、正直あまり無い。というか海外遠征する金もない。私は山男氏に借金をさせてもらって、なんとかアコンカグア(6900mちょい)を登頂した。

 

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アコンカグアベースキャンプへの下山風景

 

これは冬休み、つまりアコンカグアが位置する南米では夏の出来事である。この遠征に際して私は新学期に一週間ほど遅れて復帰したのだが、経緯を説明すると大ウケしてくれた教授がいた。高山病研究をしている教授だった。

 

この教授の紹介で、私は今回ネパールで1ヶ月、自然環境と公衆衛生に関する施設でインターンシップをすることになった。

無給である。教授も資金源を探してくれたが、しかし渡航費は自分持ちになってしまった。部活を辞めてオンライン英会話教師や翻訳のバイトをしてみたが、正直金額的には足りていない。

 

私は22歳にして、借金に借金を重ねまくっている。

 

海外には赤字でも将来性のある企業にはお金を惜しまない投資家もいると聞くが、私は所詮ただの赤字娘だ。いつか出世せねばと思うのだが、如何せん貧乏育ちなので抜け出せる自信がない。

 

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約一年前、友人宅にて貧乏らしくゴミ袋をかぶっての散髪風景

 

それはともかく、本題のパロディ企画について少し真面目な話をすると、ネパールでの1ヶ月一万円生活は実際すごく興味深いテーマに成りうると私は考えている。

 

某サイトの統計によると、ネパールの首都カトマンズでの平均月収は4万5千円だそうだ。しかし上位4分の1に10万円以上の収入がある一方、下位4分1では1万円がやっとの世界である。貧富の差が激しい地域での統計上の平均は、実質上あまり意味を成していない気がする。

 

例えば、私の母方の祖国、フィリピンにしばらく滞在していた時のことを思い返してみよう。

そこでは日給の最低賃金が日本の時給の最低賃金と同じ、つまり月給3万程度の人がザラにいる。物価も安いとは言え、ネットをサクサク使ってたまに外食もしてお出かけもするような、そんな近代的な生活をしたかったら月3万円なんて到底無理である。

ではどうやってみんなそんな薄給で暮らしているのかというと、比較的都市部にある私の母の実家の場合は1つ屋根の下、親戚同士身を寄せ合って一緒に暮らしていたのである。2ベッドルームの家に、常に12人以上が寝食を共にしていた。介護や子育てを分担し、稼ぎは家族で分け合っていた。そして田舎に行けば、稼ぎは減るが、自給自足的な低出費の生活があった。

 

こういう場合、一人当たりの平均の収入だけ見ていても実際の生活風景はわかりにくいもので、しかし金がないなら無いなりに笑顔が見えたりもするものだ。

 

1万円はどこに行っても1万円だけど、その1万円で何ができるかは、その土地ごとにかなり違ってくる。

 

お金の価値を考える修行と思って、今回、私はネパールで1ヶ月1万円生活をすることにする。

ルール:

1)一万円はざっくり100アメリカドルとして換算する

2) 食費、生活雑貨など、基本的な生活にかかる費用のみを対象とする。

3) 宿泊費、交通費、通信費、通行料や入場料は対象外とするが、一応収支報告に入れる。

 

では。