カトマンズ近郊に住む大きなネコ科の肉食獣のウンチを探して。

 

カトマンズの街は周囲360度ぐるっと綺麗なお椀状に山に囲まれているのだが、実はその森の中に大きな猫科の肉食獣が生息しているらしい。

 

例えばインドのムンバイのすぐ側の森には、アフリカのサバンナよりも高い密度で虎が生息していて、都会に順応した野犬が都合の良い餌になっているそう。捕食者の存在はその自然環境のサイクルにおいて大切な役割を果たしているだけでなく、所によると肉食獣と人間の共生は驚くほど身近なテーマになっている。

ここネパールでもトラに関する研究に注目が集まっているのだが、一方ヒョウはトラに比べてやや派手さに欠けるのか研究が発展途上にあり、私が今現在インターンシップをしている研究所ではカトマンズを囲む森の中に住むヒョウの観測と生態の研究を行なっている。

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鉄塔に登ってランチタイム。ちなみにこの鉄塔を一部底が抜けているので要注意。

ネパールの山ごはんは、茹でたジャガイモに香辛料を振りかけたものや、穀物の粉に水を混ぜて粘土状に練るサドゥと呼ばれるものがメジャー。安くて軽くてエネルギーバッチリ。

 

悲しいかな研究費用の問題もあって積極的に何台もカメラトラップを仕掛けることができない状況らしいが、そんな世知辛い問題もなんのその。ここでは糞を採取し、DNA解析を行うことで、大体の頭数の把握とエサ等の生態を研究している。

 

結果として私が今回訪れた森の中ではネコ科のものらしい糞は1つしか見つからなかった。少し休憩しようかと腰を下ろしたところで偶然見つけたのだが、私にとっては糞を発見したことよりも、要するに、ウンチを発見して嬉々としてそれを取り囲む大人たちの存在を知った事が大きな発見であった。

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ウンチを囲む高学歴男性が3名。



ところでネパールには国が管理している森林と、地元が管理している森林の二種類があるらしいのだが、カトマンズを囲む森に関しては、国が管理している森林で観測されているヒョウの数は地元が管理している森林で観測されているヒョウの数に比べて少ない傾向にあるらしい。現に私たちは今回、そもそも肉食はおろか装飾の哺乳類にすら一匹も出会わなかった。

原因はわからないが、国が管理している森林は軍の訓練状になっていたりするため、そういった人間の存在が動物にとって住みにくい環境を作ってしまっている、という仮説も考えられる。一方、国の関与なしに地元で管理されている森林は、低予算の中でありながらうまく自然環境を保護できているとして、一部海外から注目されていたこともあるらしい。

 

まあそんな今回のウンチ探しのウンチくはさておき、

今回見つけたのは猿やその他草食動物のものと思われるいくつかの糞と、

お目当てとは全く違う、クワガタや、よくわからない赤くて綺麗な虫、あと芋虫とか。

 

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クワガタ

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よくわからない虫

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どことなく美味しそうな芋虫

研究って、地味だけど、楽しいなあ。